特に妊娠中期~後期にかけて注意!
妊娠がきっかけで発症する病気に妊娠高血圧症候群と妊娠糖尿病があります。重症化すると母子ともに危険を伴いますが、定期的に健診を受けていればどちらも早期に発見でき、対策をとることができます。
妊娠高血圧症候群
どんな病気?
妊娠によりお母さんの血管への負担が大きくなるため発症します。妊娠すると体を流れる血液量は増えますが、血液が流れやすいように血管も緩むため一般的には血圧は下がっていきます。ところがその変化に体がうまく対応できず血圧が上がってしまう場合があります。それが妊娠高血圧症候群です。妊娠20週以降に「高血圧」または「高血圧に尿たんぱくを伴う」ときに診断されます。
自覚症状:頭痛、目の前がチカチカする(眼華閃発)、頭重感、浮腫
原因は?
はっきりとした原因はわかっていませんが、胎盤から放出される物質が原因といわれています。また、もともと糖尿病や高血圧・腎臓疾患をお持ちの人や肥満の人、40歳以上の人、高血圧の人が家族にいる人などが発症しやすいと言われています。
赤ちゃんへの影響
- 胎盤の機能が低下する
- 胎盤がはがれやすくなる
- 赤ちゃんが育ちにくい状態になる
- 赤ちゃんが脳出血やけいれん発作を起こすリスクが高まる
妊娠高血圧症候群といわれたら…
安静、規則正しい生活、適切な体重コントロール、減塩を意識しましょう。早期発見のための定期的な妊婦健診(血圧・尿検査)もとても大切です。
① 最高血圧が140mmHg以上、または、最低血圧90mmHg以上の場合
② 高血圧の症状に加えて、尿検査でタンパクが出た場合
妊娠糖尿病
どんな病気?
糖尿病にまではなっていないけれど妊娠中に血糖が高くなってしまう状態です。妊娠中は赤ちゃんにできるだけたくさんの栄養をあげようとして、血糖が上がりやすくなります。
原因は?
胎盤から分泌されるホルモンが原因だと考えられています。妊娠すると胎盤からインスリンの働きをおさえるホルモンが分泌されるため、インスリンが効きづらくなり血糖値が上昇します。当院の妊婦健診では、妊娠初期と妊娠半ばに血液検査を行い、血糖をチェックして妊娠糖尿病の可能性がないかを調べています。
赤ちゃんへの影響
- 赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になる
- 羊水が増えすぎる
- 赤ちゃんが心臓肥大となるリスクが高まる
- 赤ちゃんが低血糖状態で生まれる(新生児低血糖)可能性がある
妊娠糖尿病といわれたら…
まずは食事療法で血糖コントロールに取り組みます。一度にたくさん食べすぎることや糖分の摂りすぎや偏った食生活を避け、規則正しい食生活を心がけましょう。それでも血糖が高い場合は、血糖を下げるためのインスリンの注射を行います。
血液検査では、これらの項目に注意しましょう!
・尿酸が出る
・血糖値が高い
どちらもお産後に治る場合がほとんど!
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は妊娠終了とともに治ることがほとんどです。医師から診断を受けても落ち込み過ぎず、きちんと定期健診を受け、医師や助産師のアドバイスをもとにできる範囲で生活習慣の改善に努めてください。
ただし、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になったお母さんは将来的に高血圧や糖尿病を発症しやすいことが分かっています。お子さまとの生活でお母さんはついつい自分の体のことを後回しにしてしまいがちですが、お産が終わったあとも定期的に健康診断や人間ドックを受けるようにしましょう。