お刺身・ナチュラルチーズ
生ものやナチュラルチーズには「リステリア菌」という細菌が潜んでいる可能性があります。リステリア菌は、土壌・河川・動物の腸管内などの自然界に広く分布しており、私たちがリステリアに汚染した食品を摂取することによりリステリア感染症、いわゆる食中毒を発症します。妊娠中は非妊娠時と比較して約17倍感染しやすいと言われており、また妊婦さんがリステリアに感染すると胎盤を通過して赤ちゃんへ感染することがあります。特に注意が必要です。
赤ちゃんへの影響
● 流産や子宮内胎児死亡のリスクが高くなる
● 胎盤を通過して赤ちゃんにも感染してしまうため、赤ちゃんが産まれたあとも肺炎、敗血症、髄膜炎などの重大な新生児感染症を引き起こす危険がある
リステリア菌の感染予防策
● 生ものはしっかり加熱する(75度で数分加熱すると死滅する)
● 生野菜はよく洗う
● 無殺菌の牛乳は避ける
● カマンベールやブルーチーズなどの「ナチュラルチーズ」と記載されているものは避ける。またはしっかり加熱する(殺菌済のプロセスチーズやクリームチーズは食べても問題ありません)
生ハム・生肉・スモークサーモン
生ハムや生肉など加熱処理していない食べ物を食べると「トキソプラズマ」に感染する恐れがあります。トキソプラズマは寄生虫の一つで、目には見えない大きさです。感染しても健康な人であれば症状は出ないか、出たとしてもかぜのような症状など軽いですが、妊婦さんが妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、胎盤を通して赤ちゃんにうつり、脳や目に障害のある赤ちゃんが生まれることがあります。妊娠末期ほど赤ちゃんへの感染率は上がりますが、妊娠初期の感染ほど重症化しやすいとされています。主な感染源は加熱不十分な肉類と猫の糞尿で、人から人に感染することはありません。
主な感染源
① 十分加熱されていない肉を食べること
生肉はもちろん、生ハムやレアのステーキでも感染することがあります。
② 猫のふん
トキソプラズマはどんな動物の肉にも含まれている可能性がありますが、ふんに含まれているのは猫科の動物だけです。猫のふんが混じった土に触れることで感染する可能性があります。
トキソプラズマの感染予防策
● 食用肉はよく火を通して調理すること
● 果物や野菜は食べる前によく洗うこと
● 食用肉や野菜などに触れたあとは、石鹸でよく手を洗うこ
● ガーデニングや畑仕事などでは手袋を着用すること
● 動物の糞尿の処理時は手袋を着用すること
マグロ・キンメダイ
魚介類は、良質のたんぱく質やカルシウム、生活習慣病の予防や脳の発達などに関係する栄養成分を多く含んでいて、私たちの健康な食生活に重要な食品です。しかし、一部の魚介類には「水銀」が含まれ、赤ちゃんに影響を与える可能性があると指摘されています。以下の魚には水銀が多く含まれていると言われているため、週1−2回に留めるようにしましょう。
摂取量の目安
● 1週間に1回(約80g)
クロマグロ、メバチ(メバチマグロ)、キンメダイ、メカジキ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ
● 1週間に2回(約160g)
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ
注意の必要ではない魚
サケ、アジ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ、ツナ缶など
うなぎ・レバー
うなぎやレバーには「ビタミンA」が豊富に含まれています。ビタミンAは皮膚や粘膜を育て、免疫力を高めるなどの作用がある栄養素ですが、妊娠初期に摂りすぎてしまうと、お腹の赤ちゃんの形態異常を引き起こすリスクが高くなることが分かっています。妊娠3カ月以内は特に注意が必要です。
摂取量の目安
● 妊娠初期
この時期のビタミンAの摂取上限量は1日2,700μgRAEです。例えば市販のうなぎのかば焼き100g(1人前)には、およそ半分にあたる1,500μgRAEのビタミンAが含まれています。うなぎと、同じくビタミンA含有量の多いレバーなどを1日に併せて食べないように注意しましょう。
また、ビタミンAを含むサプリメントにも注意が必要です。特にマルチビタミンなどは意図せずにビタミンAなどを摂り過ぎてしまうことがあります。もし妊娠前からビタミンAを含む医薬品を処方されている場合は、主治医に相談しましょう。
● 妊娠中期・後期
うなぎを常識の範囲内の量をたまに食べるのであれば、過度に心配し過ぎることはありません。ほかのビタミンAを多く含む食品を控えるなど、摂り過ぎないよう注意しましょう。